評価の考え方③/院長昇進
院長昇進への入り口、「頼まれごとは試されごと」。
まず、相手の意図を汲む、その力が試される。
教育センター長/三軒茶屋院長 寺門 友紀
プロフィール
2018年入社 理学療法士資格保持者。千葉柏リハビリテーション学院 理学療法科卒。 勤務経験/千葉最成病院
シリーズ3回目は、前回に引き続き、キャリアアップの一つの目標としての「院長」というポジションをめぐって、どのように評価されるのか、そこにはどんなベースとなる考え方があるのかについて、私個人を題材にお話をしようと思います。
新規売上で成果を上げていた私に、マニュアル作りの要望が来ました。
前回お話したように、私は、新規対応ではリピート率の高さや回数券の購入率は、院長レベルとしてずっと高い水準だったんです。そんな時に、執行役員からある要望が出まして、受付さんがうまく電話が取れて新規率が上がるようにマニュアルを作ってくださいということでした。はい、わかりましたと、早速作成にかかりました。慣れないパソコンで、一気に作って、こんな感じかなと提出したんです。
すると、即戻ってきた。ダメだと。「このくらいでいいかなって出しているでしょ」って一言で没。そして、全社の業績アップのために、これが全国に回って誰しもできるようにしたい、それを求めて仕事を依頼しているんだよと加えられたんです。全国のチェーン店のオーナーさんも目を通すわけで、簡単なミスも許されないとても責任重大なものだとね。そんなに大事な仕事だったんだと…。今でこそ理解できますが、当時その意図がまだつかめなくて、そこまでこだわってディテールを考えたりとてもできなかったんですね。インパクトの強かった大失敗、心から反省でした。
「頼まれごとは試されごと」。相手の意図を汲むということが、とても大事だということです。
当社でも、中堅クラスになると良くも悪くも自分の考えを持つようになる。それはいいことであって、会社の問題点はここだとか、今の研修制度やマニュアルはもっとこうした方がいいとかどんどん出てくるわけです。けれども、それって実は先輩たちが一回手掛けて失敗した例かもしれないし、その経験の上で今になっているのかもしれない。そこをコミュニケーションせずに一方的に意見を発するのは、相手の意図を理解していないというわけです。
さきほどのマニュアルの作成例と同じです。これは、この会社でずっとスローガンのように言われ続けている、「頼まれごとは試されごと」ということです。もちろん、できるかどうかというのが試されるんだけれど、その前に大事なのが依頼者の意図を汲めるかどうかということなんですね。
それが発展すると相手は部下。同様に、その意図を汲めるかどうかということです。
私は、メンバーにはわからないことはわからないと言ってもらいたいですし、不満や提案があるならもちろんそれもOKです。だから、コミュニケーションは密にして、とにかく遠慮なく訊いてくださいとよく言うんです。
たとえば、ご飯食べながら、「寺門さん、僕、今こんな風になりたいって思ってるんです」とか、「院長になるには、あと何が足りないですかね」とかサラッと会話ができるような…、それくらいの関係性や雰囲気づくりは目指したいですね。これって結局、私が今までいろんな先輩にやってもらったことでして、こうやって少しずつ部下の中に院長マインドを育んでいくと、二番手の人も成長して店舗がさらに盛り上がっていくんです。
さて、そうなるといよいよ院長ですね。院長要件をクリアしマネジメント力を満たすと、その店舗の院長が彼・彼女を院長に推薦するんです。すると、直属の役員面談が入って、人事や複数の役員・執行役員との面談が入り、会長・社長面談で通ったら院長となるのです。