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筋膜NEWS④世界の筋膜マニピュレーション事情-1

理学療法士の私が、身をもって体験した効果。
このFM(筋膜マニピュレーション)を世界中に普及させたい。。

マルコ・ピントゥッチ

プロフィール
イタリア・フィレンツェ市出身。世界で38人という筋膜マニピュレーション・インストラクターの一人(2023年)。自身が20代初めに重度の腱板損傷を発症し、ようやく筋膜マニピュレーションで完治したが、その際、自分は患者に希望を与えられるのか与えられないのか葛藤したという。以来、理学療法士にとって患者になった経験はとても大事だと説く。

 

世界50カ国に広がる筋膜マニピュレーション、指導者には日本人も。

ルイージ・ステッコ先生がイタリアで始めた筋膜マニピュレーションは、イタリアに設立されたFascial Manipulation協会本部を中心に世界に広がっていまして、日本では一般社団法人日本Fascial Manipulation協会が立ち上がっています。これまでの活動実績としては、ヨーロッパ全域はもとより、北米、中南米、アジア、アフリカなど世界50か国において資格取得プログラム「国際コース」が開催されていますが、その指導者として技術の向上と普及を図るために“インストラクター”という資格が設けられ、それを有するセラピストも38人(2023年時点)に達して国籍も11か国に及んでいます。
私も、ルイージ・ステッコ先生直伝の下で技術を身に付けてこの資格を取得しましたが、日本人のインストラクターも2人いて、世界的にも重要なポジションを占めています。私は、2012年にイタリアからブラジルに渡り、アルゼンチン、ペルーなど南米、メキシコ、北米と各地でコースを開いては普及活動を行いながら、最近このアジア地区も担当することになりました。

 

理学療法士の私が経験した腱板損傷、その激痛がすっかり治癒した。

私が筋膜マニピュレーションと出会ったのは、20歳そこそこの頃に腱板損傷と診断されて治療先を探していた時でした。当時、突然肩が痛くて動かなくなってしまい、私自身も理学療法士でしたので仲間にも相談して運動療法をはじめ様々な治療を受けましたが、結局、少し良くなっては戻り、原因も分からずじまいだったんです。
そんなある時、筋膜の治療を受けて効果があったという情報を得て、イタリア国内を調べていく内にこの筋膜マニピュレーションを探し当てました。2009年でしたね。早速、ロレンソという先生を尋ねて治療してもらったところ、肩の動きが劇的に改善したんです。私は、この治療にとても関心をいだきました。すると、このロレンソ先生は筋膜マニピュレーションの創始者であるルイージ・ステッコ先生の一番弟子だったのです。それ以来、私はこの技術にのめり込んで行くことになります。

 

このFM技術は、早く治せて悪くなりにくく、軽傷から重症まで幅広く適応する。

この筋膜マニピュレーションという技術の特徴は、早く治せて、元に戻りにくい。あるいは、戻るのに時間がかかって悪くなりにくく、傷みにくいといった点。そして、簡単な痛みなど軽い症状からとても重い症状まで、またはお腹が痛いとか下痢だとか筋肉に関係するところ以外の症状に対しても、幅広く対応できることだと思います。加えて、患者も生まれて数ヶ月の赤ちゃんから90歳ぐらいまで、骨が弱くなっていない限り幅広く応えられるという、これは大きなメリットでしょうね。
なぜそうなのかというと、まず、筋肉の深部を触るという手立てが他になくて、深いところから治すのであればこの技術しかないんですね。そういう意味では、東洋の鍼灸がそれに近く、そのポイントの約70%が筋膜マニピュレーションのポイントと一致しているとも言われています。ただ、技術的な交流も最近ようやく始まったばかりで、それに関する詳しい研究というのは現状ではまだないようですね。