採用応募する 電話する 募集要項

筋膜NEWS⑤世界の筋膜マニピュレーション事情-2

FM(筋膜マニピュレーション)はもう世界に広まっている。
日本でもいずれ、整体院の90%がFMになって行くのではないか。

マルコ・ピントゥッチ

プロフィール
イタリア・フィレンツェ市出身。世界で38人という筋膜マニピュレーション・インストラクターの一人(2023年)。自身が20代初めに重度の腱板損傷を発症し、ようやく筋膜マニピュレーションで完治したが、その際、自分は患者に希望を与えられるのか与えられないのか葛藤したという。以来、理学療法士にとって患者になった経験はとても大事だと説く。

 

筋膜マニピュレーションの知名度は、日本だけがはるかに低い。

私は、2012年にブラジルのとある医師に招聘されてイタリアから現地に赴き、以来、この筋膜マニピュレーションの普及を推進してきたんですが、現地はSNSの口コミが強力で、今では筋膜を知っている人は筋膜マニピュレーションをだいたい知っているという感じでしょうか。2015年くらいに始めたペルーも、筋膜を知っている人はほぼ聴いたことがあるという感じだし、イスラエルや中国でも同様に筋膜を知っている人はほぼ知っているでしょう。
ところが、日本では、理学療法士でも100人中、5~10人くらいしか知らないという現実ですね。その理由の一つは、理学療法士のフィールドがかなり広くて、その中の徒手療法というと分野的にもシェアが低くなって興味を持たれにくい。それに、根本的には学校のカリキュラムに入っていないことが大きな障害になっているんだと思いますね。

 

日本の理学療法士は有能だけれど、継続的なスキルアップが必須。

ただ、今回のようにセミナーを日本で実施(2023年2月)すると、けっこうな数の理学療法士資格保有者が集まってくれましたね。そして、何より、日本の方はちゃんと話を聞くし予習もしてきていて非常にレベルが高い。国民性もあるんでしょうけど、インストラクターが国内に2人もいて、コース運営も協会がきちんと進めているのが功を奏しているのだと思います。
ただ、セミナー講師の説明を聞いてなるほど分かったと言っても、現場に出た途端に高い壁にぶち当たって疑問が噴き出すでしょうね。そこで、どうしても継続的に勉強する機会が必要なんです。ただし、一人でやっていると10年はかかる。そうではなくて、筋膜マニピュレーションのベテランがいてそのチェックを受けられる体制の元、グループでお互いにトライアルを重ねながら経験を積んで行くことが近道です。これなら、早ければ2年で一定レベルに達することも可能でしょう。

 

将来、日本の整体院の90%がFMになってもおかしくない。

私は、この筋膜マニピュレーションは日本で大いに普及すると思いますね。将来、整体院の90%がそうなってもおかしくないとまで思っています。というのも、日本は高齢化が進んでいて、痛みに対してリクエストがいっぱいある。そして、文化的にもマッサージというのがもう根付いていて、何かのきっかけさえあれば広がっていくと思います。
そして、もう一方で、理学療法士への報酬が高くない。この現実を前に、決断して行く理学療法士はますます増えて行くと思いますね。なぜなら、この仕事は世界中に受け入れられるんです。私は、ブラジルに行って身一つ肘一つで患者を治して見せた。その時、あちこちの病院からうちで働かないかと誘いを受けたんです。今までの理学療法士では治せなかったのに…、見たことがない素晴らしいテクニックだと言われました。この技術はそれほどのものでね。若い人が身一つで仕事を始めることができるんですよ。それに、FMは、M&メディカルリハのような小規模拠点のネットワーク型組織によくマッチしていて、その実力が正しく発揮されていくと思いますね。