驚きの筋膜施術③/足底腱膜炎
ある日、右足の足の裏が突然痛くなった。
その原因が、まさか左足にあったとは……。
柏店院長 スーパーバイザー 渕田隆洋
プロフィール
2019年入社 理学療法士資格保持者(運動器理学療法専門分野)、筋膜マニピュレーション®レベルⅠ,Ⅱ修了、筋膜リリース(takei concept)修了、 勤務経験/筑波記念病院 経験症例24000以上
お客様の症状と来院の経緯
30代男性、趣味で東京マラソンをはじめ各種大会に出場。ある日、右足裏の痛みで来院。それまでに整骨院で右足のストレッチやほぐし、ふくらはぎに電気などかなりの治療を実施していた。ただし、いずれも右足だけで左足は治療せず、歩容も確認されていないとのこと。
まず、歩容が異様だった。この動作分析が最初のポイント、そして、過去に……。
最初に歩きの動作を見ました。そうすると、歩容がおかしかったんです。少し左足をひきずっていて、左足の歩幅が短く右足が大股になっていた。つまり、歩くにも左足でほとんど地面を蹴れなくて、その分を右足で蹴っていたということでした。しかも、その状態でランニングやマラソンを繰り返していたので、いよいよ右足ばかりで蹴る癖がつき、その酷使によって右足の足底が痛くなったというケースでした。
このような動作分析は理学療法士の強みでもあるので、こういった診断の上である程度のアプローチは可能かもしれないけれど、現状では右足中心の治療で終わってしまうことが多いでしょうね。それは、実は、中学校の時に左足の骨折をしていたという、この方の過去からの経緯を聞いていないからなんです。ただ、そこに起因していると結びつけるには、筋膜の観点がなければ容易ではないでしょう。
振り返ってみれば、中学・高校あたりで骨折を手術。以降、良くなってない。
結局、筋膜がその時から固まり始めて、最初はそこだけだったのに、つながっている一つ下一つ上と固まっていくんです。そうすると、長い年月をかけてどんどん左足の硬いところが増え、それをかばう右足の負担がどんどん大きくなっていく。その変化は徐々に徐々になので、きっかけがわからないんです。
これが、ドーンとぶつけたとかグニッとひねったとか、そういうことで一気に変化してしまえば気が付くけれど、走り方も変えてない、距離もスピードも変えてない、でも、何かのタイミングで痛くなったっていうのは、けっこう筋膜要素が多いのです。それはもう長い年月をかけて姿勢も変わり、筋膜の硬さも連鎖して悪いループが重なっているっていうことでして、筋トレで筋力を戻したからと言って解消するものではありません。
相当硬かった左足のポイントを施術、怪我によって生じた『根っこ』の部分を解消へ。
そこで、骨折歴のある左足の筋膜を調べたらむちゃくちゃ硬かったので、そこに集中して蹴ることのできる左足に戻すのを目標に施術を開始し、週1回を基本にフォロー。そして、硬さが減少してくるとやがて歩幅も広がり、同時に右足の負担がどんどん減って、足底の痛みも解消していきました。ただ、左足の施術が終盤になった頃、まだ少し痛みが残っているというので、確認したら右足に硬い部分があったので、そこを最後に施術して仕上げました。
この時対処したのは、筋膜4ラインと約20カ所のポイントでしたが、筋膜の『根っこ』…最初に怪我した部分に十分な施術を施したので戻ることはないでしょう。この結果、この方は、2ヶ月と少しでランニングも再開できるようになりました。 私は、これまで数人ほど足底腱膜炎の方を見てきましたが、蹴れていないという症状は歩容にほぼ共通に現れていました。その上で、怪我した場所が膝なのか股関節なのか、エラーの発生元…筋膜の『根っこ』がどこで生じたのか、人それぞれの違いを見つけ出すことが大切です。
※効果には個人差があります。